森七菜さんの「ネガティブポップ」更新!(メッセージ集 #1〜#3)
森七菜さんの「ネガティブ・ポップ」が更新されました!
今回は「メッセージ集(#1〜#3)/「死ぬこと・原価・影」です。
#1「死ぬこと」
物心ついたときから、将来はお芝居をする人になると思っていた。
――2016年の夏、中学3年生のときに大分でスカウトされて、2カ月後にデビュー。これまでに5本のTVドラマと1本の映画に出演している。
初めてのオーディションの時も、不安はなかった。
演技に自信があったからじゃなく、素人だったから。
何がいい演技で、何が悪い演技かがわからなかったから。
だから緊張もしなかったし、やっててすごく楽しかった。
シンデレラストーリーと言われることもあるけれど、ふだんの私はとっても運が悪い。
テーブルの水はよくこぼすし、忘れ物はしょっちゅうだ。
ただ、周りの人には恵まれていると思う。
こうやってお仕事をさせてもらえるのは、自分を支えてくれる人に恵まれているから。
もし私に運があるとしたら、“自分を支えてくれる人に出会える運”だけだと思う。
「実力があるから、ここまで来たんじゃないか?」というのは、とても意地悪な質問だ。
実力がないと言ったら、今まで自分を選んでくれた人たちに失礼になってしまう。
だから「ない」とは言えないけれど……。それは本当に意地悪な質問だ。
「人生で一番大切なもの」は、やっぱり自分を支えてくれる人。
自分だけじゃ、どうにもならないことが絶対にあると思うから。
そういうときは誰かに助けてもらうことが必要になる。
私は人とのつながりで生きているから、自分を支えてくれる人は大事にしたい。
今回のテーマは「死ぬこと」だった。
「気になることをあげて」と言われて、選んだなかのひとつ。
夜、寝る前にベッドの中にいると、なぜだか死ぬことを考える。
「死んだあとは無になるのかな」と思うと、死ぬのが怖くてひとりで泣く日もある。
年齢で考えると、私よりも先に母が亡くなるはずだ。
そうなると、母とはもう話もできないし、ハグすることもできない。
そして私が亡くなると、今度は弟が寂しがるんじゃないかと思って、死ぬのがどんどん怖くなる。
だから、できれば死んだ後も同じように、みんなで一緒に生活をしたい。
誰かがいなくなるのは嫌だから、願わくばこのままの世界が永遠に続いて欲しい。
私は、いつも人とのつながりを考えている。
自分の人生の中で一番大事にしているのは、やっぱり人とのつながりだ。
「生きててよかったこと?」と聞かれても、わからない。
ふつうのインタビューだったら「出たかった映画に出演が決まったこと」と言えるけれど、今回のテーマは「死ぬこと」だ。
本当にわからない。ごめんなさい。
「人間の嫌なところ、好きなところ」……。
だんだん質問が難しくなってくる。
虫とか葉っぱだとか他の動物たちからは、あんまり気持ちが伝わってくることがない。
AI(人工知能)は、そもそも気持ちがないらしい。
でも、人間からは気持ちが伝わってくる。
誰かをねたんだり、バカにしたり、嫌ったり。
そういう気持ちを持ってしまうのは、人間の嫌なところかもしれない。
人間の好きなところは、例えば、鼻がかゆくなったらかいてしまうような“人間味”。
だって、AIはかゆいという感情はないと思うから。
そんな素直な感情や仕草が、人間の好きなところ。
……あれ、もしかしたら、人間の嫌なところと好きなところは同じなのかもしれない。
――2019年は「地獄少女」(白石晃士監督)などの出演映画の公開が予定されている……。
お仕事を始めたときは演技をするのが楽しかった。
けれど、その後、少し楽しくなくなってきている。
それは「いいものを残さなきゃ」という思いが高まって、役より自分が強く出てしまうから。
だから、自分の演技がおかしなことになっている。
でも最近は、それを解決する方法が自分なりに見つかった。
今は楽しい方向に向かっている。
え? 解決する方法? その内容は秘密。
言葉にすると効果がなくなってしまいそうだから……。
#2「原価」
私は「お芝居で誰かを感動させたい」と思って女優になったわけではない。人の心を動かすということはとても難しいことだから。
でも、この前、あるシーンを演じて「キラキラしていて泣いちゃった」という感想を聞いたときはすごく嬉しかった。
「多くの俳優さんたちが目指しているものは、これだったのか」と思った。
だけど、それを目標にはしない。
台本を読んでいれば「ここは感動するシーンだろうな」とわかるけど、それを自分の中で意識しない。
意識すると不自然になる。
だから、これまでと同じように「相手の役者さんのお芝居を受けて、それを自分の中で膨らませて、お返しする」だけ。
私は写真を撮られるのが嫌い。
「ヘンなふうに撮られたら、どうしよう」と不安になるから。
でも「Negative Pop」の写真は少し違う。
これまで自分でも見たことのない表情がたくさんあって、写っているのが自分ではないような気がする。
だから「この表情は良いけど、これはダメだな」とか客観的に写真を見ることができるようになった。
なんでだろう。不思議だ。
自分の中の写真に対する思いが変わりつつある。
どう変わったのかはわからないけど、何かが変わりつつあるのは確かだ。
「好きなもの」と「嫌いなもの」を聞かれた。
好きな食べ物は、最近は断然、お肉。
「毎日、焼肉でもいい」ではなく、「毎日、焼肉がいい」くらい好き。
好きな場所は、お布団の中。眠りに入る前のウトウトする瞬間が好き。
きっと、みんな好きだと思う。
好きな映画は、『ヒミズ』や『湯を沸かすほどの熱い愛』。
自然な演技が好き。私の目標だ。
嫌いな食べ物は、生のトマト。
スープとかミートソースに入っている茹でたトマトは食べられるけど、生はあんまりおいしくない。
嫌いな場所? 嫌いな映画?
私は「嫌い」と決めつけたくはない。
今は嫌いでも後から好きになるものもある。
「嫌いだ」といってしまうと、ずっと嫌いだと思われて損をするから。
だから、私は嫌いなものはあまりない。嫌いな人もいない。
今回のテーマは“原価”。学校で勉強して頭から離れなくなった。
例えば、今、私が買おうとしているものの原価は20円。
そこに人件費や運搬費などが加わって100円になる。
これまでは、売っているものの値段だけを見て「これは買おう」「これは買わない」と判断していた。
原価や付加価値のことを考えないで買っていた。
この世の中には、原価みたいに気づいていないのもがたくさんあるはずだ。
じゃあ、森七菜の原価っていくらだろう?
実は森七菜の原価ってすごく低くて、周りの人がたくさんの付加価値をつけてくれて今があるのかもしれない。
私の演技を見た人が、「感動したよ」と付加価値をつけてくれる。
カメラマンさんが、私の知らない顔を写してくれる。
好きなものって付加価値だろうか? これはよくわからない。
とにかく、私という原価にいろんな付加価値がついていく。
……みなさん、本当にありがとうございます!
#3「影」
「ドラマ(3年A組-今から皆さんは、人質です-)は、同世代の出演者が多いから、やっぱりライバル視しているの?」と聞かれたけど、私はライバルではなく、仲間だと思っている。
3Aの生徒たちは「生きるか死ぬか」というギリギリの状況にいる。それをリアルに伝えたい。だから「本当に死ぬかもしれない」という気持ちを何日もキープする。
極限状態の気持ちでいると、精神的にも肉体的にもキツイ。本当に体調が悪くなるくらいツライ。
でも、頑張っているのは「この作品を絶対に良いものにしたい」という思いがあるから。
現場では「このシーンは、こうしたほうがもっと良くなるんじゃないか」という生徒たちの真剣な会話があちこちから聞こえてくる。
良い作品を一緒に作ろうといている。だからライバルじゃない、仲間。
※
「2019年注目女優と言われているけど?」とも質問された。
そう言われるのは、とてもありがたいこと。
だからといって「何かを特別に頑張る」ということはしない。今までと変わらずやっていくだけ。
私は、力まずにやっていく。
※
今回のテーマは「影」。
自分の影をじっくり見るのは久しぶり。
小さい時は影と遊ぶことが多かった。
家まで電柱の影を踏まないように帰ったり、手でキツネやハトの影絵を作って遊んだり……。だから、影は自分の幼な友だち。
今日は、その幼な友だちと久しぶりに遊んだ。
一緒に遊んで懐かしく思ったし、ちょっと愛しい存在に感じた。
最近、遊ばなくなったからかな。お互い、ちょっと大人になったのかも。
※
「もし、影武者がいたら何をしてもらう?」という質問。
「私は今の生活を続けて、その影武者の人はどこか違う場所で、私とは違う人生を送ってもらう」と答えた。
だって、かわいそうだから。
影武者って、自分がやりたくないことをやらされるということ。自分の人生を使って、誰かの代わりをやるのは嫌だと思う。
それに、少し前までは「私にはできない」と思ったことも、信じてやったことで自分が成長できた。
そんな貴重な経験を誰にも渡したくない。
今の私には、影武者はいらない。
※
「どんな光が好き?」と聞かれた。
私が好きなのは、お昼過ぎの部屋に入ってくる、薄いカーテンを1枚通した光。
強い光をカーテンで少し遮ると、そこには光も影もある。
影はすごく懐かしくて、愛おしい存在。
そして私が好きなのは、光と陰のちょうど中間
強い光はあまり気にせず、今年もマイペースでやっていく。
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